「サステイナビリティ研究入門B」第二回講義
1.日時:2011年9月29日(木)18:30-20:00(開場18:00)
2.場所:市ヶ谷キャンパス 富士見坂校舎 1階 遠隔講義室
3.講義題目:「サステイナビリティ・フィロソフィ入門B」
「リスク社会における健康・安心・安全・信頼の意義」
担当者:牧野英二(法政大学文学部教授)
《本講義の目的と方法》
本講義では、哲学・倫理学・感性学の立場から、「真に持続可能な社会」に寄与する「サステイナビリティ・フィロソフィ」の役割や意義を考察する。今年3月11日、東北地方・関東地方を中心とする「東日本大震災」が発生し、数十万人に及ぶ犠牲者・被災者・避難者や国家的規模の物的・人的な損失を生じた。これは、自然災害と人災との「複合災害」である。特に福島第一原発事故は、発生から半年が経過した今も放射能の放出や汚染が続いている。その影響は、測り知れない規模で拡大し続けている。原子力安全・保安院によれば、原発事故で放出された放射性物質のセシウムは、広島に投下された原子爆弾の168倍に達している。いずれにしても日本は、3月11日を境にして、それ以前とは異質なリスク社会に変貌した、と認識すべきである。
そこで後期の本講義では、「リスク社会における健康・安心・安全・信頼の意義」というテーマで、「サステイナビリティ・フィロソフィ」の観点から、3・11以後の日本社会の在り方から従来型の「持続可能な社会」の概念の根本的見直しを試みつつ、健康・安心・安全・信頼その他の多様な価値と規範の在り方について、ともに考えてみたい。
本講義の狙いを一言で表現すれば、「真に持続可能な社会」の目的は、「健康」という人間の最も基本的でしかも最も重要な価値および権利の実現にあり、そのためにサステイナビリティ研究が存在するという点にある。
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